産婦人科

産婦人科

当院産婦人科は2023年11月に川田悦子医師が赴任し、現在4人の産婦人科専門医が臨床業務に従事しています。婦人科腫瘍専門医、女性ヘルスケア専門医、生殖医療専門医、産婦人科内視鏡技術認定医が在籍しており、進行悪性腫瘍以外のほとんどの婦人科疾患に対応可能です。
救急疾患も夜間休日以外は受け入れております。

婦人科の病気は、下記のように多くのものがあります。 当科では各病気での専門性を高めることで,出来るだけ患者様に負担のかからない検査法を用いた診断、患者様・医師お互いが納得できる適切な治療を心がけています。治療が必要な場合でも,最近は様々な新しいお薬が出てきており,多くは薬物治療の適応になります。その上で手術が必要な場合は、2023年から子宮鏡手術や腹腔鏡手術といった従来の開腹手術に比べて患者さんへの負担が少ない方法を積極的に導入しています。妊娠を希望される方には,妊娠しやすくすることを目的とした腹腔鏡/子宮鏡手術も行っています。最近では,お腹に全く傷をつけない経腟的腹腔鏡手術(vNOTES)も取り入れています。詳細は下記の記載をご参照ください。

現在、産科診療(妊娠管理・分娩)は行っておりません。大変ご迷惑をおかけしますが、皆様のご理解をお願い申し上げます。

妊娠初期の患者さん、妊娠診断、異所性妊娠(子宮外妊娠)、人工妊娠中絶、は対応可能です。

【 診療内容 】

検診

  • ◎子宮がん検診
    病院個別に行う「子宮がん検診」のほか、行政(明石市)が行う「子宮がん検診」も行っています。

通常の婦人科診療

  • ◎二次検診
    子宮がん検診で異常が見つかった患者様に対し、専門医が精密検査(コルポスコピー・生検(病理検査))を行います。
  • ◎腫瘍
    良性腫瘍  ; 子宮筋腫・卵巣嚢腫などの診断と治療。
    子宮内膜症 ; 骨盤子宮内膜症・腺筋症・チョコレート嚢腫などの診断と治療。
    悪性腫瘍  ; 子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌の早期診断と前癌状態を含め初期癌の治療。
  • ◎性器感染症
    外陰炎(ヘルペス・バルトリン腺炎)・膣炎(トリコモナス・カンジダ・一般細菌)・頸管炎(淋菌・クラミジア)・子宮内膜炎~子宮付属器炎~骨盤腹膜炎などの診断と治療。
  • ◎月経異常
    月経痛、過多月経、月経不順や思春期の月経異常などの診断と治療。
  • ◎更年期障害
    更年期に出現する様々な症状に対する診断と治療。
  • ◎骨粗鬆症
    閉経前後から女性の骨密度は低下します。将来の骨折リスクの診断と必要に応じた治療。
  • ◎位置異常
    骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱脱・直腸脱など)の保存療法と手術療法。
  • ◎女性医学
    女性特有の体とこころの不具合(頭痛を含む)などの診断と治療。
  • ◎不妊治療
    不妊の原因検査や治療。

【 特色 】

①当院には細胞検査士・細胞診専門医・婦人科腫瘍専門医が常勤しています。がん検診を含め婦人科腫瘍の診断・治療には必ず専門医が携わり質の高い医療を提供できるように努力しています。

②若い女性に多い子宮頸部異形成(子宮頸がんの前癌状態)に対しては,状況が許す限り子宮頸部の切除ではなく将来の妊娠に影響が少ないレーザー手術を積極的に行っています。

③不正出血や過多月経の原因検査,近年増加している子宮体癌の早期発見に積極的に対応しています。

④手術が必要な場合でも、できるかぎり外来や日帰り手術、産婦人科内視鏡技術認定医による腹腔鏡や子宮鏡を用いた体への負担が少ない治療をおこなっています。

⑤女性ヘルスケア―専門医・女性心身医学認定医が常勤していますので、幅広い婦人科診療が可能です。

⑥生殖医療専門医が常勤しており、不妊の原因の診断と人工授精までの一般不妊治療を行っています。

⑦急な下腹部痛や不正性器出血などの救急患者さんにも,できるかぎり対応しています。

・腹腔鏡手術

当院では多くの良性疾患(卵巣嚢腫子宮筋腫子宮腺筋症)に対し腹腔鏡手術を行っています。腹腔(ふくくう)とは、いわゆる「おなかの中の空間」であり、胃や腸や肝臓などが納まっているところです。鏡とは「カメラ」を意味しています。つまり「おなかの中の空間」に「カメラ」を入れて行う手術です。
まず臍部に12mm程度の切開を加え、トロッカーという筒を同部位より穿刺し、腹腔内に到達します。そして炭酸ガスによる気腹を行い、腹腔内にスペースをつくります。さらに下腹部に2か所から3か所、5mm程度の切開を加え、同様にトロッカーを穿刺し留置します。その筒から器具を挿入し、手術を行います。傷が小さく、手術時の負担が軽いだけでなく、大きなモニターに拡大して手術を行うためより繊細な手術ができることが長所です。しかし、癒着(組織がひっついていること)が高度な場合や、予想外の出血が起こった場合には開腹術に変更となることがまれにあります。

腹腔鏡手術

・経腟的腹腔鏡手術(vNOTES)

腹部に傷がつかない腹腔鏡手術です。腟から腹腔鏡のカメラや医療器具を挿入し、摘出組織も腟から取り出します。 今までの腹腔鏡手術よりさらに低侵襲となり、腹部に傷を作らず手術できるため術後の痛みがより軽く、手術合併症も軽減され早期社会復帰が可能です。ただし、大きい腫瘍や癒着のある症例には不向きであり、全ての症例においてこの術式が適応されるわけではありません。手術の進行が困難となったときには,通常の腹腔鏡手術や開腹手術に変更となる場合があります。

経腟的腹腔鏡手術(vNOTES)

・子宮鏡検査と手術

子宮鏡検査

子宮の中に細い内視鏡(ファイバースコープ)を入れ子宮内を直接観察する検査です。子宮内腔の病変が疑われる場合に行います。通常は、5〜10分程度で麻酔は必要なく外来で行います。

子宮鏡手術

子宮鏡(硬性鏡)で確認しながら子宮内腔の病変(子宮筋腫子宮内膜ポリープ子宮内腔癒着など)を摘出・切離する手術です。不正出血や月経量が多い、不妊の原因となっている、子宮体癌の疑いがある、などの方が適応になります。摘出した病変は病理検査に提出します。通常は全身麻酔で行います。病変の種類や位置などによりますが、 手術時間は30分程度の場合がほとんどです。基本的に手術翌日の退院が可能です。

【 検査 】

血液検査(血液一般・ホルモン検査・腫瘍マーカーなど)
画像診断(超音波・各種レントゲン・マンモグラフィー・CT・MRI・子宮卵管造影・骨密度測定など)
細胞診・コルポスコピー・子宮鏡(ヒステロスコピー)・病理検査・HPV検査など。

【 手術件数(2023年)

開腹手術 単純子宮全摘術 1
子宮筋腫核出術 1
付属器手術 1
腹腔鏡手術 子宮全摘術 23
子宮筋腫核出術 2
付属器手術 9
子宮鏡手術 筋腫摘出術 13
ポリープ切除術 26
その他 1
(子宮内膜焼灼術併用) (19)
腟式手術 骨盤臓器脱手術 1
子宮頸部円錐切除術 1
子宮頸部レーザー蒸散術 20
子宮内容除去術(人工妊娠中絶含む) 4
バルトリン腺手術 3
その他 7
合計   113

医師紹介

  • 吉岡 巌
    吉岡 巌 (理事長)
    【卒業年度】
    昭和39年
    【専門領域】
    産婦人科全般
    【認定医・専門医等】
    日本産科婦人科学会認定 産科婦人科専門医
    母体保護法指定医
    【所属学会】
    日本産科婦人科学会
    【患者様へのメッセージ】
    子宮癌等の悪性疾患の早期発見、子宮筋腫等の婦人科疾患の手術療法を含む治療を積極的に行っています。
    更年期障害等の女性特有の疾患も取り扱っています。
  • 小笠原 利忠
    小笠原 利忠 (参与)
    【卒業年度】
    昭和57年
    【専門領域】
    産婦人科・婦人科病理・細胞診診断
    【認定医・専門医等】
    医学博士
    日産科婦人科学会認定 産科婦人科専門医
    日本専門医機構認定 産婦人科専門医
    日臨床細胞学会認定 細胞診専門医・指導医
    日本婦人科腫瘍学会認定 婦人科腫瘍専門医
    日本がん治療認定機構 がん治療認定医
    母体保護法指定医
    【所属学会】
    日本産科婦人科学会
    日本臨床細胞学会(功労会員)
    日本臨床細胞学会近畿連合会(理事)
    兵庫県臨床細胞学会(会長)
    日本婦人科腫瘍学会(功労会員)
    日本癌治療学会
    日本病理学会
    日本婦人科病理学会
    日本婦人科がん検診学会
    【患者様へのメッセージ】
    長年婦人科腫瘍の診断・治療に携わってきました。
    専門領域は婦人科腫瘍特に子宮頸がんの早期診断です。
    子宮頸がんは、近年若い世代に増加傾向がみられます。幸い子宮頸がんは前がん状態(上皮内腫瘍)が存在し、数か月から数年かけて癌に進行します。前がん状態(上皮内腫瘍)のうちに診断できれば治療も容易で子宮温存も可能です。
    当院では、子宮頸部上皮内腫瘍に対して、正確な診断のもとにレーザー治療を導入し、日帰り手術など患者様の負担の少ない医療を提供できるよう努力しています。
  • 吉岡 信也
    吉岡 信也 (副院長)
    【卒業年度】
    平成3年
    【専門領域】
    産婦人科・内視鏡手術・婦人科腫瘍・不妊治療
    【認定医・専門医等】
    医学博士
    日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・指導医
    日本産科婦人科内視鏡学会 腹腔鏡技術認定医
    日本内視鏡外科学会 技術認定医
    日本婦人科腫瘍学会 婦人科腫瘍専門医・指導医
    日本生殖医学会 生殖医療専門医・指導医
    母体保護法指定医
    【所属学会】
    日本産科婦人科学会(代議員)
    日本産科婦人科内視鏡学会
    日本内視鏡外科学会
    日本婦人科腫瘍学会(評議員)
    日本生殖医学会
    日本エンドメトリオーシス学会
    日本女性医学会
    日本癌治学会
    日本産婦人科手術学会
    近畿産婦人科学会(評議員)
    兵庫県産婦人科学会(理事)
    【患者様へのメッセージ】
    令和5年3月まで15年間、神戸中央市民病院などの総合病院の産婦人科部長として、様々な産婦人科疾患を取り扱ってきました。特に、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症、 婦人科癌に対して、患者さんの負担の少ない腹腔鏡下手術を1000例以上経験しています。当院でも、患者さんの症状と希望に寄り添って、薬物療法含めた適切な治療を提供します。
  • 内藤 子来
    内藤 子来 (婦人科部長)
    【卒業年度】
    平成4年
    【専門領域】
    産婦人科・女性医学・細胞診
    【認定医・専門医等】
    医学博士
    日本産科婦人科学会 専門医
    日本専門医機構 産婦人科専門医
    母体保護法指定医師
    日本臨床細胞学会 細胞診専門医
    日本女性医学学会 女性ヘルスケア専門医
    日本頭痛学会 専門医
    日本抗加齢医学会 専門医
    日本女性心身医学会 認定医
    マンモグラフィ読影認定医
    日本骨粗鬆症学会 認定医
    日本臨床漢方医会、漢方家庭医認定
    【所属学会】
    日本産科婦人科学会
    日本臨床細胞学会(評議員)
    日本女性医学学会
    日本女性心身医学学会
    日本心身医学学会
    日本頭痛学会
    日本抗加齢学会
    日本産婦人科乳腺学会
    日本骨粗鬆学会
    日本プライマリ・ケア連合学会
    日本排尿機能学会
    日本臨床漢方医会
    日本女性栄養・代謝学会
    日本思春期学会
    日本森田療法学会
    日本オーソモレキュラー医学会
    兵庫県臨床細胞学会(理事)
    【患者様へのメッセージ】
    女性のさまざまなライフステージ(思春期、成熟期、更年期、壮年期)における特徴や変化を理解し、専門医としての知識や経験を通して、女性特有の疾患にお困りの患者さんに寄り添える診療ができるように努めます。
  • 川田 悦子
    【卒業年度】
    2010年
    【専門領域】
    産婦人科
    【認定医・専門医等】
    日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
    【患者様へのメッセージ】
    これまでの診療経験を生かし、女性の生涯を通して生じる様々な症状について、患者さん一人ひとりに寄り添った診療を目指しています。